NO8 心の渦

『心』と『の』と『渦』

 世の中、気の合う人ばかりだったらどんなに楽しく過ごしやすいだろう、と思ったことはありませんか。あなたには嫌いな人、苦手な人はいませんか。何故そうなったのか、多分いつの間にか何となく、というのが実感でしょう。

 実は、そうなった理由はその人が普段に発している雰囲気を、あなたの心のアンテナが感知しているからなのです。感知する訳は、その人を特徴づけるその人の性格、感情、考え方等が、逆にあなたの心の中に欠けているからです。自分の足りない処を毎日のように見せられるので、無意識の内にそれを避けようとして苦手意識を持つようになるのです。ということは、その人はあなたの足りないところを教えてくれているのですから、その人と交わることはあなたの成長につながるはずです。

 分析心理学の創始者ユングは、コンプレックス(劣等感その他いろいろな意味があります)について、渦のようなものと言っています。なぜか気にかかって、時々思い出されては嫌な気分になるもので、自分では意識していないこともあります。海の渦、大気の渦も回転することで大きなエネルギーを持っている様に、心の渦も人を大きく成長させる可能性を持っています。嫌がったり恐れたりして近づかないことは、あなたの成長のチャンスを自ら摘むことになってしまいます。

 発達心理学では、中学時代は互の違いを意識して退け合う傾向が強いが、高校時代からは違いを認め合い、より知り合いたいという好奇心が強くなる年代であると言われています。クラスにいくつかのグループができて、お互いに反発し合ったり敬遠し合ったりするのは中学まで、高校からは自分と性格、考え方の違う人に興味を示すようになるのです。そのようにして思っていることを自由に言っても(黙っていても)誤解されず、伸び伸びした雰囲気の集団ができるのです

 「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」という諺があります。まずは声かけ、挨拶、質問からでいいです。「どうして~に興味があるの?」「~が上手と聞いているけど、いつから始めたの?」「○○君のこと知っている?」「こっちに来て一緒に話そ合うよ」「○○の係りは大変ね」…教室の中の一日、誰かから声をかけられたら必ず誰か他の人に声をかけるという心掛けで過ごすと、教室の雰囲気はきっと開放的で和やかなものになるでしょう。

 やってみませんか、「一人一声運動」

心のベンチ

あるスクールカウンセラーが生徒・家族・職員に送ったメッセージ集です、悩みのある方、辛い方、カウンセラーの皆さんにも参考にして頂けたら幸いです

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