NO9 所属感について

 所属感という言葉を聞いたことがありますか?所属感の有無は、集団の中で心の安らぎを左右するものとして、心理学のストレス・マネージメント(心の健康管理)の分野で注目されているものです。


 所属感とは、自分がある集団に属しその一員であるという意識をもっている状態のことを言います。家の中、近所の遊び仲間、部活、クラス…など様々な集団の中で自分の存在が自他ともに認められ、居場所があると思える時にこれを実感できます。そのような場にいると落ち着いてホッとできます。


 反対に所属感が感じられない集団の中では緊張し、孤独を感じ、違和感があり、自分の存在に自信をもてないというマイナスの感覚が生じます。ある日突然知らない学校のあるクラスに放り込まれたようなもので、異次元感覚とでもいうのでしょうか、早くこの場から逃げたいと感じることでしょう。私も小学校5年生の時に、勘違いから入ってしまった6年生の教室で10分間我慢した時の居づらさを今でも覚えています。



 ずっと独りでいるとなぜ寂しく感じるのでしょうか。

 人類は太古の昔から群れて生活してきたからこそ、現代まで

 存続することができたのです。群れから離れると生存できない


 ことを自覚させるために、群れを離れると寂しいとか不安になるというマイナスの感覚が自然に心に生じるようになったと考えられます。群れを離れないようにする心理機構ができ上っていると考えられます。


 ある集団に所属感を持てない状態が続くと、人はその集団が怖くなります。近づくと心身ともに緊張します。時には足がすくんで身体が前に進まなくなります。その人にとっては、その場所からマイナスイメージの雰囲気が流れてきているように感じられます。


 緊張を解くための一番いい方法は「何も心配はないよ、あなたが居て当然だよ、皆同じ気持ちだよ、困ったら助け合おうよ」とひとり一人皆が思っている集団になって、プラスの雰囲気をつくりだすことです。


 群れの構成員が所属感を保つために、人類が発明した習慣の一つが挨拶です。「あなたが居ることを私は認めていますよ」という意味を込めて、「おはよう、こんにちは、こんばんは」と声をかけ合います。挨拶は所属感を高めあうための簡単で重要な手段です。


日本の挨拶は所属先の出入り言葉です。

心のベンチ

あるスクールカウンセラーが生徒・家族・職員に送ったメッセージ集です、悩みのある方、辛い方、カウンセラーの皆さんにも参考にして頂けたら幸いです

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