NO31  コミュニケーション力とは

 最近、就職試験や大学入試で重視されている「コミュニケーション力」について考えてみましょう。

 コミュニケーション力というと、会話で流暢に話せる力と思っているかもしれませんが、それは間違いです。仲良しグループの談笑を聞いていると、相手の話を聞くことは二の次で、自分が話したいことを争って言い合っているように見えます。最もよく喋れる人がコミュニケーション力の持ち主ではありません。

 では、コミュニケーション力で大切なことは何でしょうか。それは、人類がその能力を獲得してきた道筋をたどってとみると分かります。

 現生人類(ホモ・サピエンス)が地球上で繁栄できた最大の理由は、仲間集団でのコミュニケーション能力が他の哺乳類に比べて優れていたからです。言語はコミュニケーション手段として最高のものですが、実は人類は言語を使うようになる前から様々なコミュニケーションの方法を身に付けていたのです。

 ①目が顔の側面から正面に揃ったことで立体視ができるようになり、相手の表情を深く読み取れるようになった。

 ②ヒトの目には白目の部分があることで、相手の目が自分の方を向いているかどうかが明瞭に判断できるようになった。

 ③顔の表情を作る筋肉が高度に発達し、気持ちを「表情」として相手に伝えることが可能になった。涙でも感情を表現します。

 ④発生器官が進化し、「アー」「ウー」などという音声を発したり、うなずきや手振りの動作などで相手への共感の気持ちを示したりすることができるようになった。

 このように言葉によらないコミュニケーションの方法のことを、心理学では非言語

 (ノンバーバル)的コミュニケーションといいます。相手の気持ちを理解する、理解したことを相手に伝える、相手と共通の利害関係のために行動することができる、このように集団内で意思の疎通が深くできるようになったことで、人類は他の動物に対して生存競争で優位に立てたのです。

 つまり、「自分と相手との相互の気持ちのやり取りをする」ためには、方法的には、言葉を使わない①~④が非常に大切なことになるのです。喋りが苦手な人は聴く力と理解力があります。相手との会話で①~④の方法を使ってコミュニケーション力を発揮しましょう。10分間何も喋らなくても、集団の中で最もコミュニケーション力を発揮することができるのです。



       管理人のコミュニケーション力はヒラメさんと同じくらいです。

心のベンチ

あるスクールカウンセラーが生徒・家族・職員に送ったメッセージ集です、悩みのある方、辛い方、カウンセラーの皆さんにも参考にして頂けたら幸いです

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