皆さん今日は、先日の体育館の続きとして、カウンセリングについてのお話をします。
カウンセリングで最も大切にしていることは「相手の立場に立って理解する(共感的理解と言います)」ことです。共感的理解がカウンセリングの出発であり、ゴールであると言っても過言ではありません。
「相手の立場に立つ」という、次のようなエピソードを聞いたことがあります。
深い悩みに落ち込んでいる人がカウンセラーのもとを訪れて「今の自分の気持ちは、高い穴の底にいるようだ」と、話の中で何度も「高い」穴という表現を使いました。そのカウンセラーは「普通、穴は深いと言うのになぁー」と変に思いながら聞いていましたが、ふと気付いて「そうか、この人は気持ちが穴の底に居るようなものだから、下から上を見上げて高いと言っているのか!」と納得できました。そして、自分も穴の底に下りて話を聴いたところ、大変よいカウンセリングができたそうです。
相談に来た人は、これまで穴を抜け出す方法をいろいろと自分で試みたはずです。でも、どれもが無駄に終わって、もう一生自分は脱出できないかもしれないという不安と恐れに陥っています。そのような気持ちになっている時は、安全な場所にいる人からあれこれ方法を指示されても、やってみようという想いは起きません。まずは自分の不安な気持ちを分かってほしいのです。誰かが底に下りてきて、隣に一緒に居てくれたらどんなに安心できることでしょう。
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お い で
ふくろう げんぞう
さびしくなったら おいで
わたしの みみが
はなしあいてに なろう
佐藤直子「のはらうた」から
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※詩集「のはらうた」の作者は、野原に棲んでいる小動物や植物です(という設定です)。
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