NO44 命とは何だろう

 あなたにとっての命とは何ですか。医学や一般論としての命ではない、あなたにとっての命があるはずです。

 まど・みちおの作品に「ノミ」という短い詩があります。



 ノミとゾウの対比から、ノミが他のものであったら存在しなかった、のみであることのすばらしさが表現されています。何が素晴らしいのかについては、一言もいっていません。存在自体が素晴らしいといっているのです。まど・みちおさんの詩には、そのものの本質を突いたものが少なくありません。「ノミ」という詩も、あらゆる生物の存在の特殊性と個別性に関わる本質をついているといえます。

 存在の価値は、他と比較することからではなく、そのものが存在していること自体から生じているものです。あなたが今、あなたのことを考えたとしたら、そこで知覚した「あなたらしさ」の中に価値があるのです。たとえそれが一時的に辛く苦しく思われるものであっても、それがあなたの命です。だから、そのままのあなたを受け容れて、今

 あるがままのあなたでいていいのです。

 思春期は「自分を社会の中に置いたとき、どんな位置にいるのか?他者から自分はどのように見られているのだろうか?」という、いわゆる自分探しの時期であり、高校時代がその真最中に当たるといわれています。探し始めは何事でもすぐにはうまくいかないものです。自分の好きなこと・嫌いなことは何だろう、何をしている時が一番面白いのか・耐え難いのか、他人よりうまくできること・できないことは何だろうかなどと、一つひとつ考えていく内に、すこしずつ自分が見えてきます。そのトンネルの先に微かに光って見えてくるものが、あなたの命です。まずあなた自身がそれを大切にしましょう。

 ※「まど・みちお」…明治24年生れ、今年2月28日、104歳で亡くなりました。詩人。「やぎさんゆうびん」「ぞうさん」「1ねんせいになったら」等の童謡で知られています。1994年国際アンデルセン賞を受賞。



            ししゅんき

心のベンチ

あるスクールカウンセラーが生徒・家族・職員に送ったメッセージ集です、悩みのある方、辛い方、カウンセラーの皆さんにも参考にして頂けたら幸いです

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