猿や人には、相手の動作を真似るための「ミラー・ニューロン」という細胞があると言われています。「ミラー」は鏡、「ニューロン」は神経細胞です。相手の動作を目にすると、ミラー・ニューロンが働いて無意識に相手の動作を真似したくなる、また実際に真似をしてしまいます。この習性は、群れで生活する霊長類にとっては「あなたの存在を認めていますよ」と相手にサインを送ることになり、集団の和を保つ上で効果的です。
このように、ミラー・ニューロンは人類のために役立っています。皆さんも、授業で誰かがあくびをするのを目にすると、ついつられてあくびをしてしまったということはありませんか。また、「あっち向いてホイ」のゲームで勝つコツは、先に自分の顔を相手の顔を向けたい方向に素早く動かすことです。
しかし自己を自覚し、個性を持つようになった現代人としては、周囲に気を遣いすぎることは自分へのストレスとして跳ね返ってきます。「和」と「個」のバランスが大切です。
和を重視しすぎる人が、個を取り戻すためにどうすればよいでしょうか。
まず、自分の個性に気付くことです。「自分は何が好き(だった)か」「自分は何が得意(だった)か」「自分は何をしている時が楽しいか」「自分は将来何をしたいと思っているか」「自分は、自分は…」というように、徹底して自分を中心に据えて考えることです。独楽(こま)のように、回転し続ければ倒れない自分の軸を見つけることです。見つけた軸は自分自身のものです。他の独楽があなたの軸を中心には回れないように、あなたも他人の軸を中心に回ることはできません。無理に回ろうとするから弾き飛ばされるのです。
次に、自分の意思を相手に伝えることです。嫌なことは嫌、できないことはできないと言葉にして自分の意思を外に出すことです。本人に直接言えない時は(怖くて!)、誰にも聞かれないところで大声で悪口を言うことも効果があります。私の知り合いの〇〇先生が、気にかけていたある生徒が、校舎の裏に一人で行くのを見てこっそり後をつけてみると「〇〇先生のバカ野郎」と大声で叫んだ後、すっきりした顔になって去っていったということです。部屋にある古いぬいぐるみのおもちゃにどなったり、壁に投げつけたりすることも効果があります。とにかく自分の感情を外に出すことが大切です。
友達や親、先生に話すことも大変よい事です。適当な人が思い当たらない場合は、スクールカウンセラーがいます。スクールカウンセラーは話を聴くプロですから、いつでも皆さんが話に来られるのを待っています。
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