2021.08.02 00:00NO50 「心の理論」について 誰でも自分には心があることを知っています。ただし、ここでいう心とは、やさしいとか思いやりとかという道徳的な意味を含んだものではなくて、普通に感じたり、考えたり、想像したりする人の精神作用としての心の意味です。自分に心があるように、相手にも心があるということが分かるようになるのは4歳頃からだと言われています。それを試す実験があります。 赤い箱と青い箱を用意して、幼いA君とB子さんの前でお菓子を赤い箱の中に入れてフタをします。その後、B子さんだけ部屋の外に出てもらって、その間にA君の目の前でお菓子を青い箱の方に移します。そして、A君に対して「B子さんが戻ってきたらどちらの箱を開けるだろうか?」と質問します。A君が「青い箱」と答えたら、A君は相手(B子さん...
2021.07.30 00:00NO49 「和」と「個」 猿や人には、相手の動作を真似るための「ミラー・ニューロン」という細胞があると言われています。「ミラー」は鏡、「ニューロン」は神経細胞です。相手の動作を目にすると、ミラー・ニューロンが働いて無意識に相手の動作を真似したくなる、また実際に真似をしてしまいます。この習性は、群れで生活する霊長類にとっては「あなたの存在を認めていますよ」と相手にサインを送ることになり、集団の和を保つ上で効果的です。 このように、ミラー・ニューロンは人類のために役立っています。皆さんも、授業で誰かがあくびをするのを目にすると、ついつられてあくびをしてしまったということはありませんか。また、「あっち向いてホイ」のゲームで勝つコツは、先に自分の顔を相手の顔を向けたい方向に素早く動か...
2021.07.29 00:00NO48 自分の「短所」を活かそう!「あなたの長所と短所を三つ挙げなさい。」と言われると、大方の人は短所の方がすらすらと出てくるものです。そして、短所は無くしたいと思うものです。 しかし、せっかく持って生まれてきた短所を簡単に無くすのは勿体ないと思いませんか。逆に短所を活かそうではありませんか。 その方法に「リフレーミング」があります。リフレーミングとは、視点や枠組みを替えて物事を見直すことです。同じ絵でも額縁を取り替えてながめると別の絵のように見えるものです。 例えば「消極的な性格」は、普通は短所とみなされていますが『奥ゆかしい、周りの人を大切にする性格』と考えると、無くしてはいけないものになります。「飽きっぽい」は『好奇心旺盛、物事への興味関心が幅広い』、「出しゃばり」は『お世話好き...
2021.07.28 00:00NO47 「物の理」と「心の理」 今回は、少し難しいテーマです。 「物の理」とは物質が従う理論のこと、「心の理」とは人の心が従う理論のことです。両者には、出発点からの根本的な違いがあります。物の理の学問である物理学では、物自体の意思の存在は認めず、物がどのように運動するかは全てそれが接する外部の影響の結果として説明します。地上の物体が落下するのは、物体が落ちようとする意思(性質) を持っているからではなく、物体が地球から引かれているから落ちるのだと、外部の原因の結果として運動を説明します。 一方、人の心にはまずその人自身の意思があり、(周囲の影響を受けながらであれ)自分の意思で行動を決めていくものだという前提があります。 従って、その根本のところを忘れて、周囲のことばかりを気にしたり...
2021.07.27 01:00NO46 こだまでしょうか 金子みすゞ こだまでしょうか 金子みすゞ 「遊ぼう」っていうと 「遊ぼう」っていう。 「馬鹿」っていうと 「馬鹿」っていう 「もう遊ばない」っていうと 「遊ばない」っていう。 そうして、あとで さみしくなって、 ごめんね」っていうと 「ごめんね」っていう。 こだまでしょうか、 いいえ、誰でも。 1996年にイタリアのリッツォラッティは、人類が誰とでもこだまのように響き合う能力を持っていることを証明する脳細胞の存在を偶然に発見しました。マカクザルを使って脳の活動を計測中、彼が昼休みにアイスクリームを食べていたところ、それを見たマカクサルの脳内で、食べる時に活動するある細胞が反応していることに気付いたのです。つまり、相手の行動を見ただけ...
2021.07.26 00:30NO45 この気もちはなんだろう 谷川俊太郎の詩『春に』の出だしの一節です。合唱曲として中学校の卒業式で最も歌われる曲の一つですから歌ったり聴いたりしたしたことがある人は多いでしょう。少年の思春期の微妙に揺れる心を表現した詩です。 さて、新型コロナの中の私たちには「この息苦しさはなんだろう」と問いたくなるような日々が続いています。先日、私も次のような経験をしました。 県南に用事があって、家からバス停に行く途中でマスクを忘れたことに気付いたのですが引き返す時間がありません。駅のコンビニで買えばよいとそのままバスに乗りましたが、この様なときに限ってマスクは売り切れで、結局バスと電車合わせて1時間半ほどをマスクなしで過ごしました。この間、周りの人は私を見てどう思っているのだろうかと気になっ...
2021.07.26 00:00NO44 命とは何だろう あなたにとっての命とは何ですか。医学や一般論としての命ではない、あなたにとっての命があるはずです。 まど・みちおの作品に「ノミ」という短い詩があります。
2021.07.24 00:30NO43 楽しかった ”かくれんぼ” かくれんぼ遊びのポイントは、じっと潜んでいる安心感と見つかる時のドキドキする緊張感という対照的な二つの感情を味わえるところにあります。 前者においては幼少期の安心感を体験しているのです。 幼少期はまだ「これが自分」という自己意識が育っていないために、自分の居場所はどこだろうなどと考えることはありません。不満や反発して一番落ち着くところは暗い押入れの中や誰にも見つからない隠れ家でした。 「居場所」とは「いるところ」、時には「自分がそこに居ていい場所」のことです。そこでは気持ちがホッとして安らぎます。 クラスや部活、近所や友達グループの中に自分の居場所がないと感じたりすることがあります。 もーいーかい
2021.07.24 00:00NO42 いいこと日記 気分が落ち込んだとき、自分に自信が持てなくなったときに少し気持ちをもち直すいい方法があります。「いいこと日記」を書いてみることです。 日記というよりもメモ程度の簡単なものです。毎日、ちょっとでも「あっ、良かったな」と思ったことを三つ書いてみます。「お昼に食べた〇〇が意外と美味しかった」「学校の帰りに見た景色が美しかった」「子供の頃の楽しかった遊びを思い出した」など。 マイナス思考や不安を感じているときは放っておくとますます暗い方へ考えが流れてしまいます。心が下り坂になっている時なので、早く気づいて前向きに入れ替えないとズルズル下がるばかりです。ちょっとでも良いことがあったことに気づくことで心のギアを切り替えることができます。 人が自信をなくすのは、他...
2021.07.22 00:30NO41 ミラー細胞 他人のあくびを見て、自分もつられてあくびをしたことはありませんか?つられてしまった理由は、あくびの情報が目から脳に達して、脳の中でミラー細胞が働いたためです。 ミラー(鏡)細胞とは、他者の動作を見ると無意識の内に同じ動作をしたくなるように働く脳内の細胞です。1990年代の初め、イタリアの脳神経学者のグループが研究中に偶然見つけたものです。その後の研究でミラー細胞は動作の真似だけでなく、他者への共感能力や自己を意識する能力の形成に関わる重要な意味のある細胞であることが分かってきました。悲しい状況にある人を見ると自分も悲しく感じたり、会話のジョークで皆が一斉に笑い出したりするのもミラー細胞の存在があるから、ということになります。 このような働きを持つ細胞...